紹介
「郷校」は朝鮮時代の地方教育機関で、中国と朝鮮の儒学者たちの位牌が祀られ、儒学を教えた場所である。当時、各地方にあった郷校は、朝鮮の教育機関として中枢的な役割を担い、人材を育成していた。
釜山・東莱には、東莱郷校が残っている。『経国大典』によると、東莱郷校には1人の教師と70人以上の学生がいたという。東莱郷校は、「攀化楼」から始まる。攀化楼は東莱郷校を守る楼閣で、郷校にある門の中でも一番の位を誇る。朝鮮時代後期における郷校門楼の建築的特徴が見事に表現されており、保存状態が良好なため学術的にも価値が高い。「右入左出」といって、入るときは右側、出るときは左側の門を利用するのが礼法。
郷校の中心は「明倫堂」だ。学生たちの教育が行われた場所で、中央に広い板の間があり、東斎・西斎にオンドル部屋がある配置となっている。そっと中を覗いてみると、先生の後について書物を読み上げる儒生たちの声が聞こえてくるようだ。「大成殿」は儒教の聖賢らを祀って祭事が執り行われた場所で、孔子や孟子など中国と朝鮮を代表する聖賢の位牌が祀られている。
郷校では、よくイチョウの木を見かける。儒教を代表する人物である孔子がイチョウの木の壇で弟子たちを教えたことから、その意を称えて昔から郷校にはイチョウの木が植えられてきた。東莱郷校のイチョウの木は樹齢200年以上で、東莱郷校と長い歴史を共にしてきた。
機張郷校には、一般的な郷校の配置の形式が残っている。入口から入ると、「洗心門(セシンムン)」が迎えてくれる。3(セ)間の門構えをしていることから名付けられたこの門は、儒生たちの節義を示しているかのように強固で厳かな雰囲気だ。
「風化楼」は、「地域の風習を教化する」という意味をもつ楼閣だ。屋根は入母屋造りで、朝鮮時代後期の建築様式をそのまま留めていることから、建築学的にも価値が高い。中でも、鮮やかな丹精の色が見る者の目を楽しませてくれる。機張郷校の明倫堂も、広い板の間と東斎・西斎に分かれている。広々と開けた板の間を眺めながら、学問に努めた儒生たちの姿を思い浮かべると、まるで自分もその場にいたかのような気分になる。大成殿は、両端に石を積み上げて雨風から建物を守っている。孔子をはじめとする27人の位牌が祀られており、毎年2回祭事が行われ、儒学の理念を称えている。
先賢たちの知恵を学びながら学問に努めた儒生の息遣いが残る郷校。その庭に立っている間だけでも、しばし俗世と断絶したかのようで、まるで過去に戻ったような気分になれる。ひっそり静まり返った郷校では、先人たちの息遣いを感じながら静かに散策が楽しめる。